カスタム・周辺機器

ジムニーをリフトアップするデメリット|大径タイヤや構造変更に影響が!?

atw-xx-white

ジムニーの定番カスタムといえば「インチアップ」ですよね。

オフロード車らしい無骨さが出てきて、迫力満点のジムニーに変身できる魔法のカスタムです。

本記事では現役自動車整備士である私が、ジムニーのリフトアップについてのメリット・デメリット、費用や車検について解説します。

ジムニーのリフトアップとは

ジムニーの車体

出典:ジムニー 外観|スズキ

ジムニーのリフトアップとは、車体をあげるカスタムのことです。

ひかえめに1インチアップする人もいれば、3インチアップする人もいます。

そこで「3インチアップって何cmのリフトアップなの?」って疑問が出てきますよね。

1インチ=2.54cmですので、3インチはその3倍。

つまり7.62cmも車高が上がる計算です。

数字だけだとあまり実感が湧きにくいかと思いますが、実際にリフトアップされた車を見ると全くの別物になっています。

ジムニーをリフトアップするメリット・デメリット

jimny-joymax
では、リフトアップにはどんなメリットがあるのでしょうか?

デメリットを含めて3つずつ解説します。

メリット1:ドレスアップ効果

まず一番に上げられるのが見た目の変化です。

もともとジムニーは車高が高い車ですが、リフトアップすることにより車全体を大きく見せることができます。

例えば3インチはほかのインチ数よりも低すぎず高すぎず、バランスの取れたリフトアップ量と言えるでしょう。

またフロントバンパーをショートバンパーにすると、足回りの部品たちをチラ見せすることができるので、ドレスアップ効果が大きいです。

メリット2:悪路走破性アップ

リフトアップすることでロードクリアランス(下廻りの空間)が広く取れます。

ロードクリアランスが広ければ広いほど障害物の影響を受けにくくなるので、悪路走破性が上がり険しい山道でも楽に走ることができるでしょう。

メリット3:大径タイヤが装着可能に

リフトアップをすることによりタイヤハウスにも余裕ができるので、大きいタイヤに変更することができます。

リフトアップ量を考えると、大きいタイヤにしたほうがバランス良く迫力が出ておすすめです。

デメリット1:重心が上がることにより横転のリスクが上がる

リフトアップをすると、車の重心も上がります。

重心が上がれば、カーブ時などの遠心力で車がロール(傾き)しやすくなり、横転のリスクが増えます。

せっかくカスタムしたのですから、リフトアップ後はしっかり減速してから曲がりましょう。

デメリット2:風の影響を受けやすい

車高が上がれば車の表面積が増えます。

表面積が増えることによって、走行時に風の影響を大きく受けてしまします。

横風に当たれば真っ直ぐ走りにくくなり、向かい風に晒されればスピードが出にくくなりますよね。

そしてもちろんですが、燃費にも悪影響と言えるでしょう。

デメリット3:ペラ鳴りなどの異音発生の原因に

リフトアップをすれば、リヤタイヤに動力を伝達するプロペラシャフトの取付角度が変わってしまいます。

取付角度が大きくなると、プロペラシャフト取り付けに必要な長さが不足して、接続部分に大きな負荷がかかってしまいます。

負荷が高い状態だと、アクセル操作時に異音が発生したり、最悪の場合シャフトやその他部品の破損に繋がる恐れがあるのです。

このようなプロペラシャフトから発生する異音は「ペラ鳴り」と呼ばれています。

対策部品として延長スペーサが社外部品で発売されていますが、完全に解消されないケースが多いです。

もちろん異音の原因はさまざまありますが「ある程度の異音と付き合う覚悟」も必要でしょう。

ジムニーをリフトアップする際にかかる費用

ジムニーをリフトアップする方法は大きく分けて下記2つあります。

  • ボディリフト
  • サスペンションなどの足廻り交換

もちろん金額にはそれぞれ差があるので、簡単に解説します。

ボディリフトの場合

ボディリフトは、ジムニーのようなラダーフレーム車のみに許されたリフトアップ方法です。

ラダーフレームははしご状のフレームの上にボディを乗せる構造をしています。

ボディリフトは、フレームとボディの間にマウントを挟み込むことでリフトアップを図ることができます。

マウントは金属製や樹脂製など、さまざまな製品が発売されています。

注意点は2インチ(50mm)までの物しか市販されていません。

あと1インチはタイヤのサイズアップなどでカバーしましょう。

費用は部品代が5,000〜60,000円、施工工賃は60,000円〜120,000円くらいが一般的です。

ボディリフトの費用
  • 部品代:5,000〜60,000円
  • 施工工賃:60,000円〜120,000円

サスペンションなどの足廻り交換の場合

ショックアブソーバやコイルばねをインチアップ用の物に交換することでリフトアップを図ります。

ひとつずつお気に入りのものに交換するのも有りですが、リフトアップをするとラテラルロッドやブレーキホースなどの長さが足りなくなり、ロングサイズのものを集めなければなりません。

市販品で必要部品がセットになった、インチアップ用のサスペンションキットが販売されていますので、こちらを購入したほうが効率がいいです。

費用は、部品代35,000円〜300,000円、工賃60,000〜120,000円くらいが一般的です。

足廻り交換の費用
  • 部品代:35,000円〜300,000円
  • 施工工賃:60,000〜120,000円

ジムニーをリフトアップしても車検は通る?

ジムニーシエラ

出典:ジムニー シエラ | スズキ

さて、改造をするときに大きな問題がありますよね?

それは「車検に通るかどうか」です。

現役自動車整備士である私が、インチアップ後の車検について簡単に解説します!

車検に関しては、下記3つをしっかり確認する必要があります。

リフトアップの注意点
  • 構造変更検査
  • 直前側方視界基準
  • 突入防止装置に関する規定

構造変更検査

ジムニーに関わらず自動車は、改造などで車検証に記載されている「長さ・幅・高さ・車両重量」が変わる場合、構造変更検査をしなければ車検に合格できません。

ですが、ショックアブソーバなどの指定部品に分類される軽微な部品の交換であれば、一定範囲内であれば構造変更検査が不要になります。

もちろん範囲内だったとしても、他の保安基準に適合していなければ車検に合格できないので注意が必要です。

国土交通省が定める許容範囲は以下のとおりです。

構造変更が不要な範囲
長さ ±3cm
±2cm
高さ ±4cm
車両重量 ±50kg

例えば3インチアップは、cmに置き換えると約7.5cm。

許容範囲を大きく上回るので、3インチアップは構造変更検査が必要になります。

ただし地域によっては、なぜか構造変更検査不要と判断される場合があるのも事実です。

理由は地域ごとに、法解釈が違うからです。

車検について心配であれば、最寄りの陸運局、または軽自動車検査協会の自動車検査員に車を見てもらいましょう。

直前側方視界基準

2007年(平成19年)1月1日以降に登録された車(当時だとJB23の6型以降の型)には、国土交通省が定めた「直前側方視界基準」という保安基準に適合していなければなりません。

簡単に説明すると、「運転席から近くの障害物が確認できるか?」という検査基準です。

車高を上げると、遠くは見えるけど近くの障害物は気づきにくいですよね?

私も検査場で、この検査基準で車検不合格になった経験があります。

その時はボンネットのエアインテークを外してなんとか合格できました。(笑)

リフトアップで大径タイヤを履く人は注意が必要です。

対策はフロントカメラや補助ミラー、ドライブレコーダーの位置・角度の調整などがあります。

突入防止装置に関する規定

皆さんは国土交通省が定めた『突入防止装置』はご存知ですか?

簡単に言うと追突してきた車がの自分の車の下に潜り込まないように装備されています。

令和3年9月1日以降登録の車両(ラダーフレーム乗用車)に対して突入防止装置が600mm以下の位置に取り付けなければいけません。

ジムニーでは、バックパネルとリヤのメンバーが突入防止装置に該当します。

ただし、8月31日までに登録された車両に関しては適応外です。

現行ジムニーの車高だと、1インチアップがギリギリOKでしょう。

大径タイヤを履いていたりするとNGになる可能性があるので注意が必要です。

atw-xx-white
ジムニーをリフトアップするデメリット|大径タイヤや構造変更に影響が!?ジムニーの定番カスタムといえば「インチアップ」ですよね。 オフロード車らしい無骨さが出てきて、迫力満点のジムニーに変身できる魔法の...

ジムニーを3インチアップする際のタイヤサイズは?

JA11-JOYMAX
サスペンションで車高を上げるとタイヤハウスに余裕が生まれて、タイヤをサイズアップすることができます。

まずJB64に例えると、純正タイヤサイズは175/80 R16です。

タイヤ幅は他のカスタム状況やホイールインセット量が人によって変わります。

扁平率とホイールインチは、タイヤ外径を大きくしたい人は85 R16。

外径を変えたくなければ純正サイズと同じで問題ないと思います。

私のおすすめはTOYOタイヤのOPEN COUNTRY R/T 185 85 R16です。

ただし、タイヤ幅や外径が大きくなる場合は注意点があります。

タイヤ外径が大きくなった場合の注意点
  • タイヤ接地面積が増えてハンドルが重くなる
  • バネ下重量が増えて、ブレーキなどの足廻りに負荷がかかる。
  • 回転半径が変わるので、スピードメーターやトリップメーターに誤差が出る。

まだまだありますが、体感できる変化は上記3つです。

リフトアップで迫力あるジムニーへ

インチアップはジムニーの格好良さを思い切り出せるカスタムですよね。

サスペンションもカラーバリエーションがあって下廻りも華やかになります。

節度を守る必要がありますが、あなたのジムニーの新しい一面をまたひとつ見つけてみましょう!

関連記事