スペック・基本情報

ジムニー(JB64)とジムニーシエラ(JB74)の違いを比較|どっちが買い?

オフロードカスタム
  • 新型ジムニーを買いたいけどジムニーシエラとはなにが違うの?
  • 新型ジムニーとジムニーシエラの選び方って?

ジムニーシエラはジムニーと同時に発売された1,500ccの乗用車です。

デザインが似ていて見分けが付きにくいですが、用途や性能には違いがしっかりあります。

本記事では現役自動車整備士が、ジムニー・ジムニーシエラの違いや、用途に合わせてどちらを買うべきかを徹底解説します!

ジムニー・ジムニーシエラは2021年9月からのマイナーチェンジ(仕様変更)を発表しました。
本記事で紹介する価格・燃費などの数値は、マイナーチェンジ後の数値で紹介しています。

ジムニーとジムニーシエラの違いを比較:基本スペック

ジムニーの車体

出典:ジムニー 外観|スズキ

まずはエンジンやタイヤ、重量の基本スペックから確認しましょう。

以下を読んでみてください!

ジムニー(JB64)の基本スペック
エンジン名 R06A
排気量(cc) 658
圧縮比 9.1
最高出力(kW/rpm) 47(64PS)/6,000
最大トルク(N・m/rpm) 96(9.8kg・m)/3,500
タイヤサイズ 175/80 R16
重量(kg) 1,030〜1,040
詳細 ジムニー製品カタログ
ジムニー(JB74)の基本スペック
エンジン名 K15B
排気量(cc) 1,460
圧縮比 10.0
最高出力(kW/rpm) 75(102PS)/6,000
最大トルク(N・m/rpm) 130(13.3kg・m)/4,000
タイヤサイズ 195/80 R15
重量(kg) 1,070〜1,090
詳細 ジムニーシエラ製品カタログ

エンジンスペック

エンジンスペック
  • ジムニー:排気量658ccのR06Aエンジン
  • ジムニーシエラ:排気量1,460ccのK15Bエンジン

ジムニーのエンジンは、排気量658ccのR06Aエンジンにターボチャージャーを搭載しています。

スズキが現在主力にしている軽自動車用エンジンで、従来型のK6Aエンジンよりも軽量かつコンパクトに設計されたエンジンです。

圧縮比が9.1と高く設定されていて、低回転時のトルクを上げられる特徴からオフロード向きのエンジンと言えるでしょう。

対してジムニーシエラは専用開発された排気量1,460ccのK15Bエンジンを搭載。

こちらも低回転でのトルクアップが図られ、オフロードでの走行性能をアップさせています。

さらに1,460ccと余裕ある排気量は、街乗りや高速道路などのオンロードでも力強く余裕を感じさせる走りができるでしょう。

またマイナーチェンジにより、ジムニー・ジムニーシエラともにアイドリングストップ機能が追加されたので、燃費・環境性能もアップしました。

タイヤサイズ

タイヤサイズ
  • ジムニー:トレッド幅175
  • ジムニーシエラ:トレッド幅195

タイヤについてはジムニーのトレッド幅が175に対し、ジムニーシエラは195と太めのタイヤが装着されています。

ジムニーシエラはオーバーフェンダーにより太めのタイヤが履けるので、高速走行時や旋回時の安定性が高いことが言えるでしょう。

従来のジムニーシエラは205/70 R15で、太く外径が小さいタイヤが採用されていました。

新型では175/80 R15を採用したことにより、タイヤ外径はジムニーとほぼ同じになりハンドルの操作性も向上しています。

重量

重量
  • ジムニー:1,030kg〜1,040kg
  • ジムニーシエラ:1,070〜1,090kg

重量は見て分かるとおりですが、ジムニーが1,030kg〜1,040kgに対しジムニーシエラは1,070〜1,090kgです。

あまり大きな差は無いですよね。

この重さの車を動かすエンジンを比べると、ジムニーよりも大排気量であるジムニーシエラの方がゆとりあるドライビングが可能だと言えます。

ですがジムニーにはターボチャージャーが装備されているので、重さを感じさせないようなパワーを見せてくれます。

ジムニーとジムニーシエラの違いを比較:見た目

ジムニーシエラ

出典:ジムニー シエラ 外観|スズキ

見た目にも違いがしっかりあります。

実物を見かけたときはよく見てみましょう。

エクステリア

最大の違いはオーバーフェンダーです。

法令上軽自動車は車幅の規定が厳しいので、構造変更無しでしっかりしたオーバーフェンダーは装着できません。

ですがジムニーシエラは小型自動車なので、オーバーフェンダーがデザインされて、タイヤのワイドトレッド化が実現できました。

もちろんオーバーフェンダーの装備により、バンパーの仕様が若干違うのと、両側面にスプラッシュガードが追加されています。

ボディーカラーの採用色はジムニー・ジムニーシエラ共通ですが、ジムニーにはボンネットとルーフ・ピラーがブラック仕様である「キネティックイエロー ブラックトップ2トーン」が追加されています。

インテリア

内装の仕様・装備品についてはジムニー・ジムニーシエラ共に同じ部品を使っています。

ただしジムニーのベースグレード(XG)にはマニュアルエアコンが採用されていますが、ジムニーシエラは全グレードでフルオートが採用されています。

部品が同じならこれから先部品が少なくなってもお互いの車から部品取りができるので、これから先その利便性が評価されるでしょう。

ジムニーとジムニーシエラの違いを比較:価格

ジムニーの車体

出典:ジムニー 外観|スズキ

それでは車体価格を確認していきましょう。

それぞれの新車価格と、2021年10月現在の中古車相場を紹介します。

ジムニーの新車価格

ジムニーの新車価格はAT車で1,611,500円〜1,903,000円、MT車で1,485,000円〜1,776,500です円。

さらにXL・XGにセーフティサポートを追加すると+42,900円が上乗せされます。

またボディカラーによっては金額が上乗せされ、特にブラックトップ2トーンは受注生産カラーなので価格は66,000と高めの設定です。

ジムニーシエラの新車価格

ジムニーシエラの新車価格はAT車で1,919,500〜2,084,500円、MT車で1,793,000円〜1,958,000円です。

こちらもJCグレードにセーフティサポートを装備する場合は+42,900円が上乗せされます。

またボディカラーによっては金額が上乗せされます。

ジムニー・ジムニーシエラの中古車価格

では中古車市場ではどれぐらいの価格帯なのでしょうか?

カーセンサーによるとジムニーは1,598,000円〜3,880,000円、ジムニーシエラは1,768,000円〜4,080,000円で値段の差が激しく、新車価格より高額のものが出回っています。

これには理由がありますが、高額ジムニーは多くの場合「コンプリートカー」と言い、内外装がフルカスタムされた状態で販売されています。

中にはインチアップなどの高額カスタムがされている車もあり、新車価格よりは高額になるのも納得できますね。

出品されているジムニーには金額欄に「応談」と書いてあり、金額が定まっていない車もありますので、問い合わせてみるのもいいでしょう。

ジムニーとジムニーシエラの違いを比較:維持費

ジムニーシエラ

出典:ジムニー シエラ | スズキ

ジムニーの維持費とは車を購入したあとに、車を乗り続けるために消費する費用や税金のことを言います。

ジムニーとジムニーシエラには大きな差があるので必ずチェックしましょう!

燃費

燃費
  • ジムニー:14.3km/L
  • ジムニーシエラ:14.3km/L

ジムニーのカタログ燃費はAT車は14.3km/L、MT車は16.2km/Lです。

それに対しジムニーシエラのカタログ燃費はAT車で14.3km/L、MT車で15.0km/Lとなっています。

MT車で比較するとジムニーに軍配が上がりますね。

AT車はマイナーチェンジでアイドリングストップ機能が追加されたので、WLTCモードでの燃費は同じになりました。

燃料タンクの容量はジムニー・ジムニーシエラ共に40Lなので、AT車のガソリン代に大きな差は生まれないと考えていいでしょう

ただし他の車に比べ、ジムニーの燃費は悪いです。

自動車税

自動車税は1年に1回支払う税金です。

税率は排気量によって決まり、軽自動車のジムニーの場合は10,800円

排気量1,460ccのジムニーシエラは30,500円と決まっています。

排気量の違いで軽自動車であるだけで19,700円も安くなるのはお得ですよね。

車検法定費用

車を長く乗る上で避けて通れないものといえば車検ですよね。

車検の時期は新車〜3年目で初回車検を迎え、それ以降は2年毎に車検を通す必要があります。

ディーラーやガソリンスタンドに車検依頼をする人もいれば、ユーザー車検で自分で通す人もいるでしょう。

車検を通す上で、必ず行う手続きにかかる手数料・税金を「車検法定費用」と言います。

内訳は「自動車重量税」「自賠責保険の更新」「検査手数料印紙代」の3つです。

項目 ジムニー ジムニーシエラ
重量税 6,600円 24,600円
自賠責(24ヶ月) 19,730円 20,010円
検査手数料印紙代 1,500円 1,500円

上の表を見てわかる通り、最も差額が大きいのが自動車重量税です。

重量税は車両重量によって税率が変わりますが、軽自動車の場合は重量に関わらず6,600円になります。

生まれる差額は18,000円で、ジムニーのほうが圧倒的に安いです。

ジムニーとジムニーシエラの違いを比較:乗り心地

ジムニーシエラ

出典:ジムニー シエラ 外観|スズキ

エンジンやタイヤが違うので、もちろん乗り心地にも違いがあります。

乗り心地の差で購入後に後悔してしまう人も少なくありません。

フィーリングはとても大切です。

購入前に必ず試乗をして自分のフィーリングに合うものを選びましょう!

以下に私が実際に乗った印象を紹介します。

街乗り走行

一言で言ってしまえば、どちらも乗用車に近い印象です。

ジムニーの重い車体を軽自動車エンジンで動かすと物足りないイメージがありますが、ターボのおかげで力不足を感じることはありません。

街乗りだけで考えれば、ジムニーとジムニーシエラに大きな差は無いと思います。

高速走行

ジムニーでの高速道路の走り心地は気になるところ。

いくらターボが装備されているジムニーでも、高速走行の乗り心地ではジムニーシエラに軍配が上がります。

もちろんジムニーが遅いというわけではありません。

ただ目標速度に到達するまでに少し時間がかかるような気がする印象があります。

一方ジムニーシエラには4気筒の1,500ccエンジンが採用されているので、高速走行時でのエンジン負荷に余裕を感じられます。

またエンジン回転数も低く保てるので、ジムニーシエラの方が走行音が小さいでしょう。

走行音やロードノイズはタイヤの種類やカスタム状態によって変わるので、すべてが静かというわけではありませんので注意が必要です。

オフロード走行

オフロード走行でのパワーはジムニーシエラの方が上です。

何度も言うように排気量が違うので仕方がありません。

さらにジムニーシエラはジムニーよりも太いタイヤを採用し、トレッド幅が広いので悪路での安定性がいいと言えます。

ですがジムニーがパワー不足というわけでは無く、オフロードでも十二分に活躍できる性能があります。

またジムニーはジムニーシエラよりも最小回転半径が0.1m小さいので、小回りなどの機動力に長けています。

共通して言えること

どちらにも言えることですが、新型ジムニー(JB64)とジムニーシエラ(JB74)は従来型よりも遥かに乗りやすい車になっています。

ハンドルがブレにくくなるようにステアリングダンパーが標準装備されていて、余計なストレスが減りました。

さらに言えばシートも高品質化され、クッション性が良くなったので乗っていて全く疲れません。

ジムニーに乗ったことがない人が乗ると「乗用車と変わらない」

ジムニー経験者が乗ると「全く違う車」

という印象を受けるのではないかと思います。

ジムニーとジムニーシエラの違いを比較:サイズ・広さ

ジムニーに荷物を積んだ様子
続いてはサイズです。

スズキの公式カタログはイラスト込みでわかりやすいので、2台を比較してみましょう!

車体の寸法

▼ジムニーの車体サイズ
ジムニーの車体サイズ

▼ジムニーシエラの車体サイズ
ジムニーシエラの車体サイズ

車体の寸法を比較すると、全高と車高が5mmだけジムニーシエラの方が高いですよね。

違いの原因はタイヤサイズにあり、タイヤ外径が少しだけジムニーシエラの方が大きいためです。
カスタム前提で買うのならば、あまり気にしなくていい差だと思います。

全長は155mmだけジムニーシエラの方が長いです。

フロントバンパー形状と、スペアタイヤハンガー形状の違いによって生まれています。

全幅は170mm、トレッド幅は前後共に130mmジムニーシエラの方が大きく、オーバーフェンダーとタイヤサイズの違いで差別化を図っています。

ジムニーにもオーバーフェンダーを装備するのは可能ですが、構造変更検査を受ける必要があるので注意が必要です。

室内の寸法

室内の寸法は全く同じです。

キャビン(乗室)自体が同じものなので、ドアの開口角度や間口の寸法も含めて違いはありません。

3アングル(対障害角度)

3アングルとはオフロード走破性能の要素の一つです。

簡単に言うと車を傷つけずに障害物を乗り越えられる角度のことを言います。

3つの角度はそれぞれ名前があるので紹介します。

アプローチアングル

前方の障害物を前輪が乗り越えられる角度

ランプブレークオーバーアングル

乗り越えた障害物がアンダーボディーに接触せずに超えられる角度

デパーチャーアングル

リヤバンパーやマフラーなどが障害物に接触せずに超えられる角度

ジムニーとジムニーシエラを比較すると、アプローチアングルが5度。

デパーチャーアングルが1度だけジムニーのほうが角度が大きいことがわかりますよね。

つまりジムニーの方が乗り越えられる障害物の幅が大きいということです。

これにはタイヤ外径や前後バンパーの形状が要因であると考えられるので、ショートバンパー化やインチアップをすることで広げられます。

ジムニー(JB64)とジムニーシエラ(JB74)はどっちが買い?

ジムニーイベント
ではジムニーとジムニーシエラはどのような人が買うべきなのでしょうか?

上記で説明したことから、それぞれ用途が合いそうな人を紹介します。

ジムニー(JB64)を買うべき人

ジムニーを買うべき人は以下の条件に該当する人だと思います。

  • 遊び車などのセカンドカー
  • 街乗りメインの人
  • 維持費を抑えたい人
  • 狭く険しい山道を走る人
  • 自前のオーバーフェンダーを装備したい人

新型ジムニーは街乗りで使用する人はもちろんのこと、遊び車で購入する人がとても多いと思います。

軽自動車なので税金も抑えられますし、海山川どこへでも行けるからです。

サイズが小さいので小回りが利き、軽自動車規格とは思えないパワーがあるので、オフロードで大活躍するでしょう。

カスタムに関しても自前のオーバーフェンダーを装備してオリジナリティ溢れるカスタムにしたい人におすすめできます。

ジムニーシエラ(JB74)を買うべき人

ジムニーシエラを買うべき人は以下の条件に当てはまる人だと思います。

  • 一家に1台のファーストカー
  • 高速使用が多い人
  • 安定感や静粛性を求める人
  • 排気量などのパワーを求める人
  • サイズを気にせずカスタムしたい人

私の肌感だとジムニーシエラはファーストカーで購入している人が多い印象です。

ジムニーシエラであれば高速に乗っても乗り心地がよく、オフロードでも安定して走れます。

つまり1台で全ての要素が揃うので、実用的なセカンドカーを買う必要が無いのです。

カスタムに関しては標準のタイヤサイズが太いので、ホイールカスタムの選択肢が増えるでしょう。

また軽自動車であるジムニーとは違い全長の規格にも余裕があるので、フロント廻りのカスタムも気兼ねなくできます。

ただしカスタムには指定部品などの区分はあるので気をつけてくださいね!

自分の用途に合った車選びを

車を買ったあとに「思ってたのと違う」と後悔した経験がある人もいるのではないでしょうか。

特にジムニーとジムニーシエラはデザインが似ているので勘違いしてしまいがちです。

この記事を読んだあとはスズキのお店でジムニーを乗り比べてみてはどうでしょうか?

購入前の試乗は絶対必要です。

車の購入は決して安いものではないので、納得できる方を選んで楽しいジムニーライフを贈りましょう!

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