ジムニーのカスタムパーツを探している時に、「オーバーフェンダー」というアイテムを見かけたことはありますか?
オーバーフェンダーはジムニーを格好良くするためのカスタムですが、自動車の寸法や法律が関わってくるシビアなアイテムなのです。
本記事では現役自動車整備士である私が、オーバーフェンダー装着に必要な予備知識と注意点を3つ紹介します。
法律についてもわかりやすく解説するので、ぜひ読んでみてください。
オーバーフェンダーとは
まずは「オーバーフェンダーって何?」というところから解決していきましょう。
オーバーフェンダーとは車のフェンダー部(タイヤハウスのアーチ状の部分)に取り付けるアイテムのことです。
JB74のジムニーシエラを想像すればわかりやすいかと思います。
道路運送車両法では「ホイールが車両より外側に出てはいけない」という規定があり、太いホイールやタイヤを装着する場合はオーバーフェンダーの後付が必要です。
厳密には乗用車の場合タイヤ部が合計10mm以内であれば車両からはみ出しても大丈夫ですが、「乗用車」なのでJA以前の貨物車であるジムニーは対象外になります。
オーバーフェンダーのメリット・デメリット
出典:ジムニー 外観|スズキ
ではオーバーフェンダーを装着することでどのようなメリットが生まれるのでしょうか?
以下にまとめてみました!
- タフな外観にドレスアップできる
- 太めのホイール・タイヤを装着できる
- 取り付け方法によって保安基準不適合になる場合がある
- 一定範囲以上のオーバーフェンダーは保安基準不適合になる
オーバーフェンダーを取り付けることでカスタムの幅を広げられるのが大きなメリットと言えますよね。
しかし知識が無いまま取り付けると、知らない間に保安基準不適合になってしまいます。
この記事を最後まで読んでしっかり覚えてくださいね!
ジムニーのオーバーフェンダーは違法?捕まる?
結論から言うと、全てのオーバーフェンダーが違法というわけではありません。
保安基準内に取り付ければ車検にも通りますし、捕まることもないですよ!
ではどのような場合だと違法になってしまうのでしょうか?
以下で簡単に解説します。
取り付け方法による
オーバーフェンダーは取り付け方法次第で指定部品扱いになり、そのまま車検に通すことが可能になります。
有効な取り付け方法は以下の2つです。
- ボルトやビスでの固定
- 両面テープでの貼り付け
オーバーフェンダーを溶接やリベットで固定した場合は車体の一部とみなされ、指定部品の対象から外れてしまいます。
詳しくは国土交通省の『構造等変更検査』をご覧ください。
広げられる幅に規定がある
前述した指定部品には広げられる幅に規定があり、軽自動車の場合は±2cmまで変更できます。
しかし指定部品を規定範囲内に取り付けたとしても、他の保安基準を満たせなかったり軽自動車の区分を超えたりしてはいけません。
軽自動車の規格は全幅148cm以内と定められているのに対し、JB23・JB64の全幅は147.5cmで規定ギリギリの寸法です。
そのため0.5cm以上のオーバーフェンダーを装着してしまうと、軽自動車として認められなくなってしまいます。
JAシリーズ以前のジムニーの全幅は139.5cm以下なので、2cmまでのオーバーフェンダーが取付可能です。
指定部品の対象や法解釈は、各陸運局によって違う場合があります。
その際は陸運局・検査員の判断に従いましょう。
構造変更検査が必要な場合も
上記の要件が満たせない場合や148cm以上になってしまった場合は「構造変更検査」を受ける必要があります。
簡単に言うと軽自動車ではなく小型車として申請をします。
お金も時間もかかってしまうので、車検前にオーバーフェンダーを取り外して車検を通す人が多いのが現状です。
罰則はどの程度?
もし捕まってしまった場合は刑罰が科されます。
その際は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金で、さらに国土交通省から「整備命令」が発令。
15日以内に整備命令に応じない場合は自動車の使用停止命令や50万円以下の罰金刑となり、最大合計80万の罰金刑が科されます。
そして罰則が適応された場合は前科も付きます。
笑えないですよね。
不正改造に対する取り締まりは年々強化されています。
「捕まるから」「車検に通らないから」ではなく安全な車社会の形成のために、不正改造はやめましょう。
詳しくは国土交通省の『不正改造に対する罰則』を参照ください。
ジムニーにオーバーフェンダーを装着するときの注意点3つ
前述で解説したことを踏まえて、オーバーフェンダー装着時の注意点を3つ紹介します。
- 型式によっては付けないほうが良い
- ホイールがはみ出ていないか
- 取り付け方法に注意
型式によっては付けないほうが良い
軽自動車規格のまま車検を通したい人は、JB23以降のジムニーにオーバーフェンダーを取り付けるのはおすすめしません。
理由は前述した通りで、そもそも0.5cmしか幅を広げられないので大体のオーバーフェンダーは取り付けできないからです。
最悪フェンダーモールの薄いタイプを貼り付けるのが最終手段ですが、あまり現実的ではありませんよね。
JB23より前のJA・SJシリーズなどのジムニーであれば問題なく取付可能です。
ホイールがはみ出ていないか
オーバーフェンダーを取り付けたとしても、ホイールが車体から出ていた場合は保安基準不適合になってしまいます。
これにはホイールナットも含まれます。
オーバーフェンダーの装着と同時にホイールやタイヤの変更をする場合は気をつけなければならないですね。
取り付け方法に注意
前述の通り、指定部品の対象にさせたい場合はボルトやビス、両面テープで固定する必要があります。
溶接やリベットでは、車体の一部とみなされて指定外部品になってしまうので注意が必要です。
オーバーフェンダーは規格に注意しよう!
最近の軽自動車は規格ギリギリの寸法で設計されているので、車枠のカスタムが難しいのをご理解いただけたと思います。
オーバーフェンダーを目一杯付けたいとなると、構造変更をするか旧規格のJA・SJジムニーで装着するしかありません。
部品を1つ追加しただけで法律が2つも3つも絡んでくるので、オーバーフェンダーはシビアなアイテムと言えますよね。
しかしカスタムはあくまで自己責任のもとで行うものですから、ユーザー自身が理解しなければなりません。
法解釈の確認や保安基準の確認をしたい場合は、お近くの陸運局または軽自動車検査協会に問い合わせてみましょう。
ルールを守って楽しいジムニーライフをお過ごしください!
ジムニーはシエラのオーバーフェンダーがカッコイイと思う(´ω`)
— takeC @ misaki (@vertexjam) August 21, 2022