ジムニーのホイールには、「逆履き」または「裏履き」呼ばれるカスタム方法があります。
純正ホイールなどを反対向きに装着することで、従来のカスタム費用を大きく節約することができます。
ただし耐久性など、大きなデメリットがあるのも事実。
この記事では、ジムニーのホイールを逆履きする方法とメリット・デメリットについて解説します。
- ジムニーの逆履きって安全?
- どんなメリット・デメリットがあるの?
- 逆履きの具体的なやり方は?
上記のような人は、ぜひ最後まで読んでください!
ジムニーホイールの逆履きとは
ジムニーホイールの逆履きとは、名前の通りホイールの裏を表に履くことです。
加工や追加部品が必要となりますが、純正のホイール等を使うことで、ジムニーらしい走りを少ない予算で実現できます。
片減りしてしまったタイヤを十二分に使いきる為にタイヤを逆履きするという話は聞きますが、ジムニー乗りの中では費用を節約して思い通りの走りが実現できると話題となっています。
トレッド幅が広がる
軽自動車ジムニーの場合は、通常1270mm前後のトレッド値でインセット20前後の16インチ5.5J(J)リムのホイールが装着されています。
上記仕様のホイールを逆履きすると、ホイール本体の厚みが有るので片輪で約40mmトレッド幅が広がります。
さらにワイドトレッドスペーサーを使用した場合はそれ以上広げる事も可能です。
すなわち、左右両輪で約80mm以上タイヤが車両の外に出る事に。
実際には型式によってリヤのスペーサーなどの加工、装着が必要です。
オフセットには別の名称も
マイナスオフセット(アウトセット)とは、ホイール中心線よりも内側に取り付け面がある状態のことです。
業界団体の合意により、現在はオフセットの名称が変わり、ホイールを横から見たときのリム幅に対しての位置によって下記3つに分類されます。
- インセット
- ゼロセット
- アウトセット
標準のゼロセットのホイールを購入した後でも、ワイドトレッドスペーサーや汎用品のスペーサーを装着することによって、アウト方向に微調整をする事が可能です。
ジムニーのホイールを逆履きするやり方
これらの方法は正規の取り付けとは違う事から、逆履きをやってみたい方はすべてにおいて自己責任でお願い致します。またホイールの種類によっては、デザイン上、取り付けができないものがある事にも注意してください。
ブレーキキャリパーとのホイール干渉調整、タイヤハウスの一部加工、ホイールナットを取り付ける座面の座金加工などと、いくつか作業が必要になります。
- 手順1:必要なものを用意する
- 手順2:ホイールを加工する
- 手順3:ホイールを磨く
- 手順4:タイヤハウスの加工
- 手順5:スペーサーを装着する
手順1:必要なものを用意する
まずは以下のものを用意しましょう。
- ワイドトレッドスペーサー
- グラインダー
- ハンマー
- ソケット
場合によっては追加で工具が必要になる可能性もありますので、作業をする際には余裕をもった日数を確保することをお勧め致します。
手順2:ホイールを加工する
最初の作業はホイールの加工です。
数多くあるJA11用の純正アルミホイール中で、逆履きに適したデザインを使っての加工例です。
P.C.D.ホールラグナットがホイールに密着するテ-パー部分を加工していきます。
本来の取り付け位置にあるシート座金(グロメット)をホイールの裏面からサイズの合うソケット、ポンチなどを当てがいハンマーで叩き取り外します。
※純正ホイールの一部は、この鉄製のグロメットを使用している造りが多いです
ホイールの劣化具合や状態によってはテーパー部分が固着していることもあり、ハンマーで叩いても外れないことがあります。
その場合はプーラーを使って圧力をかけることで外す方法も。
うまくいかない場合は、プレス機を使い安全に取り外す方法もあります。
また取り外し前は潤滑油で十分に油を差しておくと、取り外しの時間を短縮することができます。
手順3:ホイールを磨く
逆履きをする場合は裏面が表にきますので、次はホイールの磨きが必要になります。
本来であれば見えない面となっていることから、非常に表面が荒れています。
せっかくの逆履きが実現してアウトセットの見た目となっても、ホイールが汚いと満足度も半減してしまいますよね。
グラインダーなどで、荒めから細かい順番に磨いていきましょう。
手順4:タイヤハウスの加工
グラインダーの作業でもう一つ必要になるのが、タイヤハウスの加工です。
アウトセットに振ることで、ハンドルを切った時やバンプ時にタイヤハウスに干渉する恐れがあります。
装着後にはハンドルを左右にいっぱいまで旋回して、接触箇所が無いかを確認しておきましょう。
また接触箇所を確認できた場合には、下記の方法を取るのも一つの手です。
- タイヤハウスの接触箇所をサンダーなどで切断する
- タイヤハウスカバーを取り外してしまう(大幅干渉の場合)
- スタビライザーは取り外し必須です
手順5:スペーサーを装着する
キャリパーとホイールとの干渉を回避するあ為に、程度の隙間を作ることが理想となります。
もう一つの目的として、ホイール装着面と車両側の取付け面を均一にする事が挙げられます。
スペーサー選びは慎重にしましょう。
スペーサー装着時の注意点
またスペーサーを装着する際に注意したい点があります。
ナットを締めこむハブボルトの長さが足りず、取り付けする事ができないケースも考えられますので、事前に装着できるかの有無を確認しておきましょう。
通常よりも長いハブボルトなどは1500~4000円前後で購入することもできますので、少しでも安全を重要視されるのでワイドトレッドスペーサーと共に同時交換しておくといいです。
ホイールの加工、ワイドトレッドスペーサー、ハブボルトの交換とやり方を項目としてみると少ないですが、ホイールの状態やハブボルトの交換を加味すると1日~2日は日数を確保しておきたいところですね。
ジムニーのホイールを逆履きするメリット
上記の内容の作業を得てジムニーのホイールを逆履きするメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
大きくは以下の3つです。
- オフロードなどで転びにくくなる
- タイヤが外側にでるデザインになる
- 狭い車内の有効活用
オフロードなどで転びにくくなる
単純なコーナリング性能の向上というよりは、車幅が広がることで、山登り、岩場や未舗装の道路などの悪路での走破性が向上します。
V字走行など車体が不安定な状態で踏ん張ってくれます。
マキシス製クリーピークローラーなどのタイヤを装着する事により、タイヤサイド部分の造形を利用して、車両が横転に近い状態から走行可能な状態に回復することが可能になります。
タイヤが外側にでるデザインになる
逆履きをすることで、ジムニーの見た目が大幅に変更されることがメリットとして大きいです。
もともとSJ30、JA11、JB23などの角ばったフォルムをもつジムニーは、4X4四駆らしいイメージがありますよね。
ただし更にアウトセットになることで、俗に言うゴツい車というイメージチェンジを実現することが可能です。
狭い車内の有効活用
ジムニーのデザイン上、避けられない問題が荷物を積む空間です。
現地に行き、違うインセットのタイヤホイールを装着するには、自宅からもう1セットのタイヤホイールを積み込んで走らなければならないのです。
逆履きホイールであれば現地で付け替えるだけですので、室内空間が確保されます。
ジムニーのホイールを逆履きするデメリット・注意点
純正のホイールで装着可能なものであれば、必要な工具などを事前に揃えることで初期費用は必要最低限で抑えることができます。
その一方で正規の取り付け方ではない方法になる為、走行時に注意点がいくつかあります。
ジムニーのイメージチェンジに大きく貢献するホイールの逆履きには、その見た目と引き換えに、多くの注意点が存在します。
予め理解してから行うようにしましょう。
- ホイールナットの緩み、負担が大きい
- ベアリング類の早期劣化
- ホイールバランスの問題
ホイールナットの緩み、負担が大きい
一つ目のデメリットは、ホイールナットの緩みや負担が大きいことです。
定期的な増し締めときくと一見当たり前のことのように聞こえますが、テーパー部分を取り外し、車両側から延長したハブボルトにスペーサーを 噛ませた状態でホイールナットを締めこんでいる状況は非常に危険です。
たとえ規定トルクでナットを締めていたとしても、走行の振動や負荷によってナットが緩んでしまう可能性が非常に高くなってしまいます。
車の半年、一年点検で定期的に増し締めをしてもらうのとは訳が違い、毎日乗る方であれば2~3日に一回は規定トルクで増し締めをする必要性があります。
またトレッド幅がひろがった状態では、ハブボルトにも大きな負担がかかっています。
そのため、ハブボルトのねじ山の損傷やホイールナットが損傷してしまったりする場合があることに注意しましょう。
この場合は正確な規定トルクで締め込むことができないので、必ずハブボルトとナットの交換をしなければならないデメリットがあります。
ベアリング類の早期劣化
ハブベアリングの劣化などで走行中異音が発生することは、年数や劣化の度合いによっては散見される症状の一つです。
しかし逆履きにはアウトセットになることで本来のホイールの構造の軸から大幅にずれてしまい、常に負荷がかかってしまいます。
そして早期にハブベアリングのガタやキングピンベアリングの損傷に繋がってしまうことが考えられます。
走行中の異音やハンドルが振れる等の二次故障に繋がることは、初期投資の安さをみてもベアリングの交換作業や部品代を考えると大きなデメリットとなってしまいます。
ホイールバランスの問題
ジムニーのホイールを逆履きすることによって、ホイールバランスが正確に取れなくなるため、先程のホイールナット同様に定期的にホイールバランスの調整をする必要があります。
ただしほとんどの場合マッド系のタイヤを装着していると思いますので、そんなに神経質にならなくても大丈夫ですが。
また本来の取り付け方法ではないことや、タイヤが車幅よりはみ出してしまうことから、車検に通らない状態となってしまいます。
タイヤがはみ出してしまう場合には、モールやオーバーフェンダーを取り付けて構造変更の申請を行うことで車検を通すことができます。
構造変更時に、安全を証明するいろいろな書類の提出を求められます。
安心して乗りたい方には合法的にイメージチェンジをされることをおすすめします。
楽しいジムニーライフを送る為にも、違法改造した状態での公道走行は絶対におやめください。
ジムニーの逆履きでよくある質問
出典:ジムニー 外観|スズキ
最後にジムニーの逆履きでよくある質問をまとめました。
ジムニーでホイールの逆履きを検討している方は、ぜひチェックしてください。
ジャダーは起きやすくなる?
ジムニー乗りの中では有名と言ってしまうと語弊がありますが、持病の一つとも言えるジャダーは純正の車両でも発生してしまう可能性がある症状の一つです。
突然前輪のタイヤが振れるハンドルが振動するなどの現象となっていますが、ホイールを逆履きすることによって、ジャダーは起きやすくなってしまうのでしょうか?
ジャダーの要因は以下のようなものが考えられます。
- タイヤの空気圧不足
- ホイールバランスのずれ
- タイヤサイズ
- ハブベアリング、キングピンベアリング、タイロッドなどのガタ
例えばJB23の場合、リンクコイルリジットアクスル特有の症状から、年数からくる劣化などではなく低走行距離の車両にも発生することがあります。
JB23W、JB43Wの特定の型式のジムニーでは、ラテラルロッドとアクスルハウジングを結合する締結構造のボルトが緩むことで異音ハンドルが振動するなどの症状から、平成26年5月16日にリコールが発表されました。
現行車種であるJB64ジムニーでは、ジャダー対策を採用した使用となっていることから発生しにくい状態となっているようです。
逆履きをした場合のデメリットで紹介したように、ベアリングのガタやホイールバランスが狂ってしまう、中心軸がずれることで負荷がかかるなどのことから、ジャダーの発生を誘発するリスクは大幅に上がってしまいます。
対策品として「ジャダーストップキット」などが販売されていますので、不安だという方は試してみるのもお勧めです。
逆履きできるホイールの種類は?
逆履きできるホイールの種類には、正規の方法ではないことから自己責任となります。
加工を前提とした取り付け方法となりますので、どのホイールが逆履きすることができると断定できないのが答えとなります。
ネット等ではSJ30ジムニーの純正ホイールを使った逆履きが散見されますので、そのホイールサイズを基準にみて近しいホイールを購入して挑戦してみることをお勧め致します。
参考としてSJ30のホイールサイズは16インチ4.5J+17 PCD139.7となっています。
スペーサーは必要?
スペーサーはホイールとキャリパーの干渉を防ぐ為のものになりますので必要です。
しかしながらワイドトレッドスペーサーは車検不適合となってしまうので、装着時には注意しましょう。
ジムニーホイールの逆履きにはデメリットがかなり多い
逆履きのやり方からメリット、デメリットまで紹介致しました。
正直なところデメリットの方が大きく、装着したあとの危険性や交換が必要な部品、定期的な点検を考えると、あまりお勧めできる方法ではありません。
しかしタイヤ・ホイールセットで10~15万円の金額を考えると、中古で純正ホイールを購入して加工することで節約できるのは逆履きの魅力ではあります。
予算があれば正規の方法がおすすめですが、どうしても逆履きにこだわる方は参考にしていただけますと幸いです。
逆履き作ってみた✨#ジムニー #逆履き #ホイール pic.twitter.com/EOlFcDiJo6
— Go屋 Globe TIRE (@Goooya33) January 11, 2021